「一般社団法人 福祉防災コミュニティ協会」
~安全・安心で魅力ある福祉を目指して~

はじめに

2024年元旦に発生した能登半島地震において、600名以上の方が亡くなられました。そのうち、400名近くの方が災害関連死と認定され、その数は今も増え続けています。この災害でも、やはり高齢者、障がい者、こどもなど脆弱性の高い人に対する支援が不十分でした。特に、奥能登地域で多くの建物が倒壊し、福祉施設なども被害を受けたことで、多くの高齢者等が広域避難しました。避難先として1.5次避難所、みなし福祉避難所など新たな取り組みが行われましたが、支援体制は十分ではありませんでした。

その中で、本会会員でもある市立輪島病院事務長の河﨑国幸さんが「能登半島地震発生直後からの手記」を著されました。これにより、多くの人々この災害の厳しさを知り、分かち合うことができました。あの大変な時期に、仕事に加え、記録を残す作業に取り組まれた河﨑さんのご努力に心からの敬意を表します。

私たちは、災害時の高齢者、障がい者、こどもの避難所として福祉避難所の充実を目指し、(一財)消防防災科学センター様からの委託事業により例年、8県で福祉避難所マニュアル作成研修を実施してまいりました。そこで、能登半島地震で福祉避難所を開設したほぼすべての福祉施設を訪れてヒアリングを行いました。同時に、株式会社フェリシモ様の「もっとずっときっと基金」のご支援により、福祉避難所運営された事業者さまに支援金を届けることもできました。また、プラス株式会社様のご厚意により、社会福祉協議会や福祉施設に支援物資を届けることもできました。加えて、会員はじめ多くの方からもご芳志をいただき、支援活動に役立てることができました。

私たちの調査によれば、福祉避難所の平均開設期間は110日にも及び、3分の2の施設は持ち出しをしながら運営をしていました。ほとんどの施設は、職員も物資も不足する中で、懸命に避難者の命をつながれていました。

現状、福祉避難所は十分な機能を果たせていません。私たちは、福祉避難所マニュアル作成、効果的な研修、訓練手法を伝えるとともに、企業版ふるさと納税を通じた物資等の事前準備、いざというときにすぐに役立つパンフレット、チラシの作成にも取り組みます。

乳幼児、妊産婦、障がい者や高齢者と地域とのつながりが弱くなり、社会インフラに依存する都市型社会にあっては、「地域共生社会づくり」が極めて重要です。みんなの困りごとである災害対策を契機に共生社会づくりを進めてまいりましょう。

今後とも本協会に対し、関係者各位のご支援、ご協力をよろしくお願いいたします。

2025年6月吉日

一般社団法人 福祉防災コミュニティ協会 会長 浅野 史郎

 


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